プロポーズ

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律儀に横を向き、こちらを見ないようにしてる課長だが、その口元はニヤニヤと笑ってる…、 ……課長は冷たい人ではないが、ドSなのは間違いない…、 半ば腹立たしく、半ば呆れた気持ちで助手席に乗り込んだ。 運転をしないなら必要ない…、と眼鏡を外そうとした時…、 「外すな。今日は眼鏡をかけたままでいろ」 「はい?…途中で運転を代わる、…とか?」 「いいや、運転は俺がする」 「なら…」 「男除け…、だよ」 「は?」 「それで少しは顔を隠せる。…ま、逆にエロさはアップするかもしれないが…」 「はぁ?……エロ…、はあっ!?」 何言ってンの? 顔を隠す? エロさ、アップ…、だとぉ~!? 眼鏡はスクエアタイプのセルフレームで、色はワインレッド、テンプルに小さなラインストーンが付いてはいるが、ごくシンプルなデザイン…、 エロさの欠片もないしっ! 「つまり…、そのぉ、なんだ…、お前の今日のスタイルは、似合い過ぎて…、ヤバい…。行く先々で男が釣れる」 「……」 「面倒だろ?」 「そ、それは…」 「眼鏡で少しは誤魔化せる」 「……エロさ…アップ、って…」 「アハハッ、そこは男のロマン、ってヤツだ、気にするな」 「……」 男のロマン…、とやらは理解できないが、男が釣れるのは勘弁して欲しい…、 私は素直に、課長のアドバイスを受け入れた…。
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