プロポーズ

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二者択一、究極の選択だが、俺は眼鏡の装着を選んだ。 エロい目で見られることは不愉快で腹立たしいが、無駄に言い寄られるよりはマシだからな…。 そもそも…、だ、 俺は当初、記念館の窓口を彼女にするつもりなど一切なかった。 個人宅とは違い、このような建物の場合、様々な業界の人間と接触する機会が多い…、 彼女を担当者として表に出せば、そこに関わる男達が彼女に群がることは目に見えていたからだ。 実際に何度かあった…、 表舞台に出た彼女は、事業主や取引先、関連業者の男達から頻繁に誘われる羽目になった。 壁になるはずの彼氏の存在も、高梨の姿を見たことがない男達には通用しなかった。 仕事を通じて彼女と知り合った男達は、その手段として、仕事に託つけたアプローチを試みる。 無駄に多い打ち合わせと電話…、 意図的に引き延ばされる仕事…、 親睦会と銘打った夜の誘い…、 邪な考えを持つ男達に振り回され、ウンザリしながらも、何とか仕事を進めようと必死の彼女…、 それでも滞る仕事にイライラした俺は、以来、彼女を表に出すことを控えた。 経験を積ませるには、顔を出さずとも、社内で誰かのサポートをさせるだけでも十分だ、と…。
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