棘の鎧を纏う薔薇

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人気者になれるなら、この顔も悪くない…と、浮かれたのも束の間、私をモデルに選んだクラスメイト達から、不満と後悔の声が洩れ出した。 『ルカちゃんの顔って、特徴がなくて難しい~』 『つまんなぁーい』 『タケル君にすればよかったぁ』 途中経過の私の顔は、描き手にかかわらず、驚くほど皆同じ顔。 標準サイズの眉、目、鼻、口をバランス良く、左右対称に描けば出来上がり…、モデルがいなくても十分描ける顔だ。 指導していた先生までもが『確かにルカちゃんの顔は、特徴を捉えるのが難しいかもね』と、苦笑していた。 一方、眉が太めのマイちゃんや、唇が厚いタケル君をモデルに選んだグループは盛り上がっていた。 私をモデルに選んだクラスメイト達まで参加して、似てる、似てないなどと、楽しそうに笑ってた。 天国から地獄…。 美人とは、何の特徴もなく、つまらない顔…、と認識した瞬間だった。
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