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時間がない。余命はあとわずか一日だ。
なんて嫌われ続けた一生だったのだろうか。この一生は、きっと幸せに暮らしてきた奴らに復讐することで報われるはずだ。
だから俺は人を殺す。それが小さな俺の願いだ。偶然通りがかった不幸な奴を殺すのだ。待っていればいずれ来るだろう。
待てど暮らせど人が来ない。それにしても良い匂いがするな。おや、こんなところにラーメン屋があったのか。まぁ最後の晩餐といくか。
そう思って店に入ってみたが、人でごった返しているな。決めた。ここで人を殺そう。でもその前にスープを一飲みするか。いただきます。
バチン
彼は不幸にも男の掌に潰され死んだ。亡骸が男の彼女が食べていたラーメンに沈んだ。
「ちょっとぉ、私のラーメンに虫が入っちゃったじゃないのよ。本当に虫って嫌いなの」
「まぁまぁ、僕が代わりに食べてやるから」
その翌日、虫を殺した男は虫の常在菌による病気で死んだ。小さな虫の一生は報われたのである。
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