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「貴様…今何と言った…?」
不意に聞こえた不機嫌な声に俺の体は強ばる…
何と言った?なんか変な事言った?
変な事………
…
好き…………
そうだ…好きと言ってしまった…
そう気がつくと俺はイザークの顔を見ることができなかった…
見なくてもわかる…貴様何を言ってるんだ?気でも狂ったかと言わんばかりなしわの刻み込まれた眉間と、俺を軽蔑する冷たい目線があるだけだろう…
「今なんと言ったと聞いている…」
何も言えず顔も見れない俺に怒り混じりの催促の声が飛ぶ…
やめて…もうこれ以上聞かないで…
これ以上…嫌われたくない…
そう思うと目頭が熱くなり…視界がぼやけるのを感じた…
生まれたときは暖かい滴が頬を伝い布団を握りしめた手に落ちたときにはとても冷たく…それにつられるように次から次へと頬を伝った…
「そんなに泣くな…」
どのくらい泣いただろう…不意に優しげな…でもどこかどうしたら良いかわからず狼狽えたような…そんな声が響いた…
何度も聞いた…何度も追った愛おしい人の声…
その声につられるように顔を上げると、暖かいものが頬の涙を拭ったのだった…
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