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何と赤い風船とおぼしき物が俺に話し掛けて来たのだ。
しかも、そいつが言う事には、そいつがこの喫茶店の店長だと言う。
俺は、また頭が混乱した。
こんな事があっていいのだろうか?
とりあえず、俺は落ち着きたかった。
それで、今日は無料にしてくれるという、コーヒーを注文してみる事にした。
数分の間、俺は混乱している頭を整理しようと努めながらも、まだ、未知の味を期待して、注文の品が届くのを待った。
テーブルに届いたコーヒーは、普通にカップに入っていて、別段変わったところはなさそうだった。
俺はゆっくりと、カップを持ち上げると、おずおずと口のそばまで持っていった。
一口飲んだその感想は……。
「うまい!」
しかし、何処でも飲んだ事のない味だった。
まるでコーヒーとは思えない、しかし、きちんとコーヒーの味がする、そんな感じの味だった。
俺は、暫く味の余韻に浸っていた。
そして、店長に礼を言おうと辺りを見回したが、既に店長の姿は無く、仕方がないので、とりあえず、店の奥に聞こえるように、「ごちそうさん」と言って、店を出る事にした。
第3章へ続く
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