教科書12ページ ~とある昔話~

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幼い頃に、各国の首脳や王たちが一同に集う晩餐会に王子として出席したことがある王様は、 開催国に向かう道中の村でその地獄を目の当たりにしていました。 生きているものは、 皆空虚で目に光がなく 地面に伏している死体は、既に腐って入るモノもあり、 吐き気を催す程の異臭を放ち 、いくつかの死体を黒い物体と思わせる程にハエがたかっていました…。 そして、 生者に食されたのであろう痕跡が体中にあり、 村は異臭と死体と絶望で溢れていました…。 先代国王達もその光景に嘆き悲しんで立ち尽くしていると、飢えで苦しみの中 息絶えたのでしょう …。まだ小さな我が子を 守るように抱き合いながら死んでいる夫婦に、王子が 歩みより小さな手をいっぱいに広げて重なるように抱きつくと顔を涙と鼻水でグシャグシャにしながら言いました…。 「ヒック …ごべんなだい …何もでぎ…出来なぐで…ごべんなだい…」 王様がまだ8歳の時の出来事でした。
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