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俺は此処にいて良いんだろうか。
───何かを喪失(ロスト)したような瞳の青年の手記より。
今日は何だか日常(いつも)より違う日だった。
仕事に行くために準備をしていたら…数時間前に出ていった放浪癖のある弟が帰ってきた
「ただいまー、兄さんまだ居るー?」
『アキラー?』
「居るよ、ここに。
鍵が開いてる時点で居るに決まってるだろ?」
『全く騒がしいな、二人して。』
自分の着ていたブルゾンのフードからブルゾンと同じ色の真っ黒な毛色の黒猫が顔を出す。
彼の名前はシキ、俺の大事なオールメイトで、パートナーだ。
今、目の前で白猫を肩に乗せて俺と話してるのは、弟のショウ
彼の放浪癖にはちょっと困っている。
一度出ていくと数日、長い時で一週間は帰って来ない時があって…いつか何処かに消えてしまうんじゃ無いかと心配で気が気じゃない。
「…珍しいな、帰って来るなんて。」
「んー、今日僕もお仕事だって思い出して…仕事着取りに来たんだぁ」
その言葉を聞いて、リンに伝えておいて良かった、と安堵した。
「…リン、ありがとう。
お前にシフト覚えさせておいて良かった」
『いえいえー、おっちゃんには色々世話になったしね』
「え、兄さん何で勝手にリン弄ってるの!?やだ、変態!?」
『何を言うか、お前の方が充分変態だ。
男娼のようなことをしてるクセにどの口がそんな事を言うんだ?』
「シキ、止せよ…金は貰ってないんだから……」
『しかしな、アキラ
貞操観念の喪失は頂けない。
人としてどうかと思う』
「お前がそれ言うか…」
「シキがそれ言うの…」
『なんだ?俺はおかしな事を言ったか』
『シキ、俺ら機械よ?機械が貞操観念云々言うのは…どうよ』
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