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カビが目を覚ますと、独房の中であった。
破れない鉄格子。散歩も出来ない狭さ。彩りのない壁。
つまらない、現実だ。
カビは寝そべったまま嘆く。
もっと夢にいたかった。覚めないように注意していたのに。
両目を手で覆うが、そんな事でも気分は晴れやしない。
かといって起き上がる気力も無かった。
倒れたまま、ただただ悔やんだ。
ふと気が付くと、足音が迫ってくるようだ。
牢の外。
足音はカビのいる部屋の前で止まり、扉を開けた。
「おい、来てもらおう。」
外で取り巻きと共に立つ男はカビに向けて言い渡した。
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