それでも愛してる。

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優の後ろから桃花が走ってきた。 手にはスイートジュエルのお菓子を持っている。 「今日休んだのにこんなところにいていいの?」 桃花が寝てなさい。と言わんばかりの口調に優は、今日も売り出しに来たのかと、複雑な気持ちで「そうだね」と答えた。 「まだ本調子じゃないのね…」 そう言った由希はまだ何か言いたげな顔をしている。 これ以上話をしたくなくてこの場を立ち去りたかったがどんな風に言えばいいのか分からない。 「ねぇ…優くん」 由希は言い淀んだ。 何を言われるのかと緊張する。 やっぱりまだ本調子ではないと言ってその場を去ればよかったかもしれない。 「こんばんは高橋さん」 タイミングよく声をかけた人がいた。 由希はその人に挨拶を返す。 桃花も傍にいた女の子と話を始め優はここぞとばかりに「それじゃぁ…」と言ってその場を離れた。由希は待って欲しそうな素振りを見せたが優は気付かないふりをしてレジを済ませた。 早足でスーパーを出た。 一度振り返り由希たちがいないことを確認して歩みを緩める。 (なんでこんなところで…?) 浩一は駅の近くに自宅があるといっていた。 その駅からここは3駅先なのに…。 こんなところにまで買い物に来るのかと驚いた。
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