それでも愛してる。

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優は隣に座り自分もビールのブルトップをあける。 「俺さ、自分の店をもつのが夢だったんだよ…」 店ならもう持ってるじゃないかと思ったが酔い出している山越に余計な事を言ってはいけないと、優は適当な相づちを打つ。 「小さな店でいいんだよ…。商店街でも、住宅街の中でもどこでも。花が店中にいっぱいで入り口まで溢れるようなそんな店。乙女チックだろ~」 恥ずかしそうに笑う山越を見て優は首を振った。 本当に花が好きなんだ。 山越にとって花屋は天職なんだと改めてそう思った。 「どうして花屋の始めたんですか?」 ベタな質問。 だが山越はビールを一口飲んで口を開いた。 「単純なんだ。切っ掛けなんてほんと単純。好きだった人から花束をもらったんだ。それが嬉しくてね~。でもその人はすぐ結婚したよ…。なんで俺に花束をくれたのかは分からないけど。きっと俺がその人を好きだと気づいていたのかも」 別れの花束…。 それだけで花屋になりたいと思ったのか…。 優には納得できなかった。 山越は優に顔を向けた。 「だから?って思うだろ~。元々農業高校だったこともあってさそういうのには興味があったんだ。それでその花束が泣いてるようでさ…。別れの花束じゃ嫌だって。なら俺は喜びの花束を作る人になろうって…。たんに対抗意識だよ~」 「店長らしいですね」 対抗意識と聞いて相手も花屋なのかな?と憶測で思った。 もしかしたら高校時のアルバイト先の店長だったりして…。 なんて思ったりもした。
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