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涙をスウェットの袖口で拭った。
昨日から泣きっ通しだ…。
涙をこらえようと身を縮めた。
その時、ふっと体が持ち上がった。
「うわっ」
驚いて優は声を出した。
「店長!」
抱き上げられて思わず腕を山越の首に腕を回してしまった。
「一人で泣くのはもうおしまいだよ」
眼鏡を外しているせいなのか、目を細め優をじっと見つめる。
普段の雰囲気と違い優はドキッとした。
「離してください」
小さく抵抗するが山越は知らん顔でベッドに下ろした。
「優くん、もう泣いちゃ駄目だよ」
山越は優の頬をそっと撫でる。
「なにもしない…。だからここで寝るんだよ」
山越はそっと優を抱くようにして横に寝かした。
優は山越の静かな口調のなかにキツいものを感じて逆らうことを辞めた。
優が壁際に寝る位置になり、壁を正面に横向きで寝た。
山越も狭いのに優との間をあけて背中合わせで寝ている。
はじめは居心地が悪く感じたが次第に相手の体温が感じるようで温かく、うつらうつらと眠りについた。
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