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数日が過ぎた。
スーパーで由希に会ってからまだ顔を見ない。
月曜日の花市場へはあれから山越と買い付けに行くようになり、必然と前日は優のアパートに泊まるようになった。
だがそれ以上のことはない。
あれ以来山越が自分に好きだとも言わない。
浩一とも会わなくなり、このまま何も無かったことのように、忘れていくんじゃないかと思った。
「優くんそろそろ閉めようか~」
特価のミニブーケも完売しちょうど閉めるにいい時間になった。
「わかりました」
そう返事をしてミニブーケを飾ったワゴンを片付けているとき、一人の客が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
優が顔をあげた。
「あんた…」
声が震えた。
会いたくて、会いたくなかった。
すがり付きたくて、突き飛ばしたい。
大好きで愛していた人…。
「優…」
浩一の切羽詰まった表情。
グッと優の腕を引き寄せふらついたところを力一杯抱き締めた。
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