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「会いたかった…」
掠れた声が耳にあたる。
ブルッと身を震わせた。
もう流さないと。
もう泣かないと思っていたのに涙が出た。
「なんで…、なんで来たんだよ」
涙声で浩一を責めた。
「由希に疑われたんだ…。だから時間と距離をおいた」
その言葉に愕然とした。
由希に疑われた?
なんで…。
息を飲んだ。浩一はそんな優に、
「優が倒れそうなとき俺が思わず名前で呼んだんだ。2・3日前に知り合った奴を名前で呼ぶのは変だって…。ごめん優」
優は抱き締める浩一の腕を押し解いた。
「もう駄目だ。あんたとは終わりだよ…」
山越は距離をとってこっちをうかがっている。
じっと自分を見ているのが分かる。
あたたかい…見守るような眼差し…。
「あんた、俺と一生この関係を貫いてくれる?」
浩一が眉をしかめた。
その仕草が無理だといっているのが分かる。
「俺はそうしていくつもりだった」
「なら!」
浩一が歩み寄った。
それと同じように優は後退する。
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