ⅩⅠ

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女の子は、嬉しそうに 玄関をあけて、階段をあがり 秋子のいる、二階の部屋に入ってきた。 「このお家広~~い! おねえちゃん、一人で住んでるの? さみしくな~い?」 女の子は、秋子が答えるのも待たずに 一人で勝手に、話し続ける 「みさとはね! 新しいお家に、引っ越してきたんだよ! みさとのお部屋もあるの!! それでね… ピンクのカーテン、買ってもらったんだよ!! キラキラ光るお花が、ついたカーテン。 凄~い綺麗なの! でもね… ママは、お片付けばっかりしてるから、みさとつまんない… みさとね… 前のお家にいる時のママの方が、ずうっと好きなんだぁ~」 秋子は、そっと女の子の頭をなぜてみた。 感触がある!!! 涙が溢れ出した… 人に触れる事も 誰かが、自分に話しかけてくる事も、 ずっとなく 過ごしてきた。 寂しさで 何度も、気持ちが押しつぶされそうになった。 「お姉ちゃん、どうしたの? 泣かないで…」 女の子は、秋子の体を抱きしめて 背中を、優しく叩いた。 いつもお母さんに、してもらうように…
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