ⅩⅠ

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笑顔を返した私に、女の子は安心して また、ペラペラと喋りだした。 折り紙を出して 随分長い間、悩んでから ピンクの折り紙を、秋子にくれた。 「みさとはね、ピンクが大好きなの! でも… お姉ちゃんが、元気になれるように 特別に、ピンクの折り紙あげるね!」 秋子は笑って、折り紙を受け取った。 典明との子供が、欲しかったあの頃を、秋子は思い出していた。 「みさと~~!」 窓の外から 女の声がした… 「あっ!ママだ!」 窓から、みさとちゃんは顔を出した。 【この子は、私の子供… 典明と私の子供… だから… 誰にも渡さない!!!】 秋子は 体が震えるのがわかった そして家が揺れた… 「地震だ!!!」 みさとちゃんが叫んだ 「ママ~~~! 地震だよぉ~!!!! ママ~~!」 みさとちゃんは、泣き出しそうになりながら、 秋子に言った。 「こんなに近くにいるのに、 なんでみさとの声、ママに聞こえないんだろう?」
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