ⅩⅠ

20/26
前へ
/194ページ
次へ
何も答えない秋子を、押しのけて みさとちゃんは 泣きながら、階段を駆け降りた。 「ママ~~! 怖いよぉ~~!」 みさとちゃんは 玄関を開けようとして 必死に力を入れたが、 玄関の扉は開かない。 「おねえちゃ~ん! 玄関が開かないよ…!! おねえちゃん~!!!」 玄関から 必死に、秋子を呼ぶ声がする。 「みさと~!」 秋子は、 二階の窓から、声を張り上げて 必死で子供を捜す女を、眺めていた。 「ママ~! みさと ここにいるよ!!」 みさとちゃんは 玄関を、どんどん叩いていたが 二階に駆け上がって戻ってきた。 「おねえちゃん! 玄関あかないの! ママ、迎えにきたから みさと帰らなきゃ!!」 秋子は にっこり笑って泣いているみさとちゃんを、抱きしめた。 狂ったように、泣いて喚いているみさとちゃんを更に強く抱きしめた。 「ママ~~~~!」 典明… あなたと私の子供だよ。 少し典明に似てるかも こうやって泣いているとこは 泣き虫な私に似たのかな?… 典明 今日は早く帰ってくるかな?… 今夜は典明の好きな、お鍋にしよう! 秋子は、泣きじゃくるみさとちゃんを抱きしめて 背中をとんとんと 優しく叩いた。 みさとちゃんの真似をして…
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1240人が本棚に入れています
本棚に追加