第十章 コートジボワール激震

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 コルシカへ帰還して残務整理を行うと、もうすぐ契約が満了する時期になると気付いた。  気に入らない少尉の下に居たくないこともあり、残り僅かな期間しかないのに転属願いを司令官に申請する。洗いざらい事実を証言し、あの少尉以外なら誰の下でも構わないとまで断言した。  ややあって違う小隊付に転属すると思ったが、申請を却下された。代わりに少尉が、ジブチの小隊へと転属するよう辞令が下ったらしい。だがそれを聞いても前のように、気持ちが盛り上がらなくなっていた。  大尉から三年契約をするならば、翌々年に曹長への昇進を予定しようと話がもたらされた。考えさせて下さいと力なく返答し、待機となり除隊までのカウントダウンに入った。  気の抜けた状態で軍務などやっても命を落とすだけだろう、それも部隊を丸ごと危険に陥れてだ。オーバーニュで除隊の手続きを選ぶ、と申告すると「残念だ」と大尉が意志を尊重してくれた。
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