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【九龍 九龍タワー展望台】
表向きには中央政府のお墨付き、大陸一の先進国としてその名声と流れ込む技術を欲しいままに発展し、裏向きにはそれを糧としたチャイニーズマフィアやギャング、その他諸々の暴力組織が跳梁跋扈する暗黒都市、『九龍』。
その九龍の街の中でも一際目立つ高層タワーに立つ一人の初老の男。
彼の名は『リオン=レイロン』。
九龍に本社を置く
「迷い猫捜しから国家機密まで」
を社訓に掲げた世界有数の探偵結社、
『カリオンカルチャーコーポレーション』。
その代表取締役を務める男である。
レイロンは展望台からじっと外を眺めているが、それは遊覧のためではない。
今、彼の目の前の空には、禍々しい邪悪な気配を放つ大きな『裂け目』が出来ていた。
その裂け目の中からポツポツと、何やら無数の黒い影が這い出てきているのが見える。
あれは恐らく……
レイロンが物思いに耽っていると、展望台フロアのエレベーターの扉が開き、中からピッチリとした七三分けとスーツに身を包んだ、いかにもお堅そうな痩けた頬の男性が姿を現す。
「こんなところにいましたか…リオン=レイロン!!」
「おやおや、やはりこの騒ぎでは流石に情報統制は効きませんか…
お早い登場で、王海燕殿。」
「何を仰るのか!!この街が中央政府からどれだけ危険視されているか、知らぬ貴方でもあるまいに!!」
ゆるい態度を見せるレイロンに対し、
男、海燕は見るからに苛ついた態度でレイロンに詰め寄ってくる。
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