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「それで……どうなっているのですか、状況は!!」
「あぁ、それはもう切羽詰まった状態でして…
今までは事後報告が殆どでしたから、生で観るのは初めてでしたよね?
アレが…『裂け目』と『異怪獣』ですよ」
空の割れた空間を、レイロンは指差す。
先程より『裂け目』から湧き出てきていた黒い点は、よく目をこらせば、その一つ一つが生物であることが分かる。
それらいずれもが、この世のものとは思えない、醜悪な外見をした怪物であることも。
「『異怪獣』……
人界と異界を隔てる境界の軋轢によって生ずる『裂け目』と、そこから境界の内側へ溢れ出したエネルギーが実体を持ったモノ…
だったか…」
「そうです。更に厄介な事に、ここまで巨大なサイズの『裂け目』は滅多に自然発生するもんじゃない。
あの『裂け目』はまず間違いなく、人界と異界を外的要因によって強引に繋ぎ合わせた事で生じたものです。
恐らくは、『何か』をこちらの世界へ呼び込むため……
異界に巣くう異形のモノ達も、裂け目をトンネル代わりにして大量に紛れ込んで来ています。」
「…!?アレは何者かが仕掛けたものだと?」
「その可能性は高い、かと。アレをご覧なさい」
レイロンが『裂け目』を指した指をそのまま下へつつー、と下ろすと、
おどろおどろしい空の光景に不釣り合いなまでに煌びやかに輝く不気味な銅鐸、あるいは釣鐘のような巨大建造物が『裂け目』の真下に存在していた。
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