闇と光

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驚いた。 さっきまでなんの感情もないのかと思わせるくらい淡々としていた彼女が、突然泣き出した。 それも身を切るような、 苦しそうに押し殺した声で。 消えてしまいそうな彼女の頭をそっと撫でた。 なにも言わずに撫でた。 しばらくすると寝息が聞こえた。 また、何かに怯えてうなされるのかと思ったけど、気持ちよさそうな彼女の寝顔をみたら安心して、僕も眠りに落ちた。 久しぶりに一回もアパートの夢を見なかった。 何故だろう。 そんなことを考えながらながら寝返りを打つと、すぐ近くに綺麗な顔があった。 落ち着け、思い出せ。 寝る前、何があった。 あ・・・ここ、江戸時代だ。 しかも激動の幕末。 ここは、新撰組の屯所。 じゃぁ、目の前にあるのは・・・ 沖田総司の顔だ。
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