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スズメがチュンチュンと鳴き、朝の日差しが窓から注ぐ。
「ジリリリリリリ!!!!」
目覚ましは7時の時間が来るとともになり始める。
「ふぁ~……眠ぃ……」
神谷は重たい瞼を頑張って持ち上げつつ、目を擦る。
「あ~あ、毎日が休みだったらいいのにな」
男子高校生ならよく言われているであろう独り言を言って虚しくなった。
羽衣市の桜が咲き始め、今日俺は始業式の日を迎えた。
階段を下り、手慣れた手つきで朝食を作る。
ご飯に味噌汁、卵焼き。これが朝にぴったりなのだ。
朝食を食べながらテレビをつける、食器の音とテレビの音以外の音は無く、とても静かだ。
静かな理由は、現在この家に両親が居ないからだ。
俺が小さい頃に両親は仕事があると海外に出かけてしまい、この家には父親、母親共に殆ど帰ってきていないのである。
両親の仕事は本当に忙しいらしく、数年のうちで家に帰ってきた日数は極端に少ない。
そんなわけで両親は毎日会えない可愛い我が子を心配しているのか、1か月に数回の電話が来ていた。
……のだが、半年前から電話が来なくなっている。
「あの二人は大丈夫なのだろうか……」
俺はいつものことだ、こんなことは前にもあった。と思い、考えるのをやめた。
そして部屋の壁に掛けている時計で時間を確認する。
「うおっ、やべぇ。時間だ」
時間が来ているのでテレビを消し、食器を速やかに片付け、歯磨きなどの登校の準備を済ませた。
そしてクリーニングをしたてのピシッとした制服を着る。学ランを着るのは久しぶりである。
静かな廊下を歩き、玄関で靴を履く。そして、
「行ってきます」
俺しかいないこの家に自分の声が響く。
「・・・・・・」
もちろん、返事は返ってこない。
いつものことなのでもう慣れたが、やはり寂しいものだ。
服装を整え玄関を出る……と、そこには小柄な少女が待っていた。
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