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「ついに始まっちまうのか」
「いいじゃない、みんなと会えるラストチャンスだよ?」
「勉強がたるいんだよ…ったく」
神谷が王道である学生の愚痴を言いながら進む。その先にある学校、羽衣高校は、羽衣市で有名な学校で、偏差値もあまり高くなく、人気のある学校だ。
学校のルールなどもあまり規制がなく、生徒たちは何事にも縛られることはなくのびのびと学校生活を平和に暮らしている。
部活動も一般的なものから、珍しいものまであるのも、人気のひとつでもある。
ちなみに神谷はあまり珍しくない剣道部に、天音は弓道部に所属している。
学校に到着した神谷達は、去年使っていた2-3の下駄箱の隣、3-3の下駄箱に自分の靴を入れ、上履きを袋から取り出していた。
上履きを見てさらにため息をする。その直後に誰かが大声を出しながら神谷達に目掛けてダッシュしてきた。
「うおぉぃ~っす!!」
こいつは高校1年からの親友。鹿口 日乃(かぐち ひの)。1年、2年とぎりぎりで進級している。身長は171cm、髪色は赤毛、体型はスマート、そしてイケメンという超が付くほど美男子。
しかし驚くほどに馬鹿で、良い意味でも悪い意味でも有名だ。その馬鹿さでクラスを笑わせるため、ムードメーカー的存在。本人は否定しているが、あだ名は馬鹿である。
「あ?なんだ、馬鹿か。うるさいな」
「おはよう、日乃君!元気だね!」
「天音ちゃん、ハロ~。それと3年生の初日に馬鹿とはなんだ!少しは天音ちゃんを見習え、馬鹿!」
「馬鹿に馬鹿とは言われなくないねぇ」
「うっせ!この野郎!」
神谷と日乃は、3年早々取っ組み合っていると、同じクラスの女子が"またか"とでも言いたげな顔で下駄箱にやってきた。
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