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小原庄助(おはらしょうすけ)は、二週間ほどの休暇を、ただぼんやりと過ごした。
特に何をするでもなく、妙子(たえこ)にいつ別れ話しを切り出そうかと、ただそれだけを考えその日その日を送った。
出立する前夜、庄助は幾度も寝返りを打ちながら寝付けないでいた。
それは、暑さの為だけではなかった。
八方に吊してある蚊帳が小さく揺れると、妙子は身を屈めながら潜るようにしてそっと入ってきた。
「ん、あんた……もう休んだんか?」
そう言って、庄助に添い寝する妙子の髪からは柔らかくシャンプーの匂いが漂った。
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