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庄助の伸ばした腕は、妙子の首筋に絡み、身体は引き寄せられた。
そうして髪が庄助の頬あたりに触れると、一層にその匂いは強く漂った。
妙子は、庄助が出立する前の夜は必ず庄助を求めてきた。
それは、庄助のいない長い日々を過ごす為に、庄助の温もりをいつまでも保っておきたかったからだった。
妙子の身体は更に引き寄せられた。
ふたりは今までに、互いの求めを拒んだことはただの一度もなかった。
なのに……と思って、妙子はその悔しさを覚えてしまうのだった。
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