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父と娘は押し黙ったまま歩き続け、
坂道に差し掛かった。
ふたりは立ち止まり汗を拭うと、
鬱蒼とした坂を見上げた。
そのトンネルのような坂の先には、
真っ青な空と、真っ白な雲が鮮やかに映し出された。
父と娘は顔を見合わすとにっこりとして、
また手を繋ぎ、しっかりと歩き出した。
その坂を上がりきろうとする手前で、
真っ青な空の中で風に舞う、
【氷】
と、書かれた小さなのぼりが見えてきた。
「着いたなぁひかるぅ」
父と娘は大きく息を調えながら頷き合うと、
ひかるは駆け出して行き、
食堂の赤茶けたガラス戸に手を掛けた。
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