庄助の場合ー2

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´ 『一関一等兵…… いや一関はん、軽ぅおますなぁ…… あんたはんの戦争、終わりましたのんやでぇ』  背負う庄助の背中は赤く染まり、 それは雨と共に脚の方へと伝ってゆき、 赤い足跡は広がった。  庄助は立ち止まると、 背負い直し後ろを見た。  あとに続く二人も、同じようにしていたが、 その亡骸に首はなかった。 『わてら……意味も分からんと戦争に取られて、 いったい、何が目的でおましたんやろなぁ』 『玉砕―――っ! 貴様ら~~っ、 何をぐずぐずしておる――っ!』  業を煮やした中根中佐は、 激しく罵倒足蹴して、強引に自決させ、 二人を介錯した。 『終いには……こないな事ぉさせるやなんて 堪忍しとくんなはれや……一関はん』  庄助の、あとに続く二人の一等兵も、 気持ちは同じだった。  三人は、 よろよろとしながら、北西の海岸へと続く、 獣道(けものみち)を歩いて行った。  先の見えぬほどに降っていた雨は、 止んだ。 『ぁあっ………』  庄助は足を滑らせ、体勢を崩した。 ´
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