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「そんなことあらへんてぇ。そないなことある訳ぇないがなぁ」
妙子はじっと庄助の眼を凝らしていたが、
「庄助さんっ、何であんたの過去を訊いちゃいかんの? ねぇ、何でじゃのぉ?
あたしらは夫婦でしょうに。違うね?」
と、眉間に皺を寄せて、今までの不満を悔し気に喋っていた。
庄助は思わず逸らした。
「ねぇこっちば向いてってばぁ。あたしが女郎やったからね?」
庄助はうろたえた。
「ちゃ、ちゃいますがな。ちゃうて」
「そげなこと今さら口に出さんでも、お互い承知のはずじゃがね」
「せやからちゃうてぇ」
と言って、また俯いてしまった。
「ちょっとぉ庄助さん、あたしがょ女郎をやっとったも何も………そげなあたしをば、身請けしたんは、庄助さんあんたじゃなかたとね……………………………………………………………………………………………ねぇ黙っとらんで何か言うてよ」
「うぅん」
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