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二人は上体を起こすと、敷き布団の上に座した。
「ねぇ庄助さん……あたしは、あんたが見ての通りの女じゃょ。
あたしはあんたに隠し事なんて、なぁんもなかょ。
それなのに何で、あんたはあたしに秘密をば持つとね?」
庄助は顔をあげて何か言おうとしが、また肩を落として黙り込んでしまった。
「あたしをまともに見られん訳でもあるとやね。」
妙子は見上げるようにして、覗き込んだ。
「…………」
「ねぇあたし達一緒に暮すようになって、もう十年も経つんよ。
確かにあんたとは固い約束をば交わしたがね。
も~~っ、だかい~~っいったいあたしに何の隠し事があると言うとね~~っ。
分かった! 女じゃね? 庄助さん、あんた好きな女でも出来たとやねっ」
庄助は首を振りながら、ゆっくりともたげると、妙子に詰め寄った。
妙子は身を反りながら、息を呑んで、口もとを結んだ。
「妙子……」
「……はぃ」
妙子の鼓動が三つほど大きく響いて、脈は打たれた。
「妙子、わてなぁ」
「………は」ぃの言葉は呑み込まれた。
「わてぇ、小便してくるわ」
「え、」
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