葉山夏生

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        不動産屋からもらった地図を引越しセンターの人に渡し、心地いい車の振動と昨晩の寝不足がたたり間も無く自然と瞼が重くなり夢の世界に誘(イザナ)われるのに時間はかからない。 「葉山さん、葉山さーん!起きて下さいよー葉山さん!」 肩に違和感を感じ現(ウツツ)の世界から帰還した俺の視界に飛び込む呆れ顔の男にビクリと肩を震わせる始末 。 「荷物も部屋に運び終わりましたのでサインもらえますか?」 どうやら到着しても起きる気配のない俺を寝かしたまま部屋に全ての荷物を運んでくれたらしい。 「す、すいません、ありがとうございました」 迷惑顔の配送員に早くしてくれとばかりに渡された書類にサインをした俺は、これから新たに始まる新生活に浮かれ降り立った視界に映る建物を目にした瞬間言葉を失った。 「‥‥‥‥嘘だろ」 振り返った時には時すでに遅し、俺を降ろしたトラックは走り去った後だった。 .
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