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母も通ったと言う築何十年の古びた校舎内を、真新しい制服を着た新入生たちに紛れて、体育館へと続く渡り廊下を歩いていた。
誰もが買ったばかりの学校指定の体育館シューズを手にしている。
体育館の玄関内で室内履きシューズと履き替えるため、その渡り廊下は人の列で溢れ返っていた。
五時限目は、毎年恒例の先輩たちによるクラブ紹介がこの体育館内で行われるのだ。
列の順に人の流れに押されながら、ふと眼を向けると、そこから中庭が見えた。
綺麗に手入れされた花壇の中には、三メートルほどの高さの桜の木が何本か植わっていて、まだ、肌寒い風に吹かれながら、チラチラとピンク色の花びらを散らしていた。
この時期の各学校内では、定番と言えば定番の光景。
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