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第19章 キス
「タケル!」
「冥夜か。どうした?」
「ケガはしておらぬのか?」
「ああ。大丈夫だよ」
「よかった・・・」
市ヶ谷は武と冥夜のやり取りを微笑みながら見守る。
「市ヶ谷~」
「厚木・・・」
「あの子何者?」
厚木は武を指さして市ヶ谷に尋ねる。
「彼らは救世主だよ」
「救世主ねぇ・・・でも不思議よね」
「何が?」
「だって普通救世主だって言われても信じないのに本当に信じちゃいそうになるのよ?」
「厚木。武君は俺達より多くの事を知っている」
「あたし達が実戦経験も積んでるはずよ?」
「でも、年齢と実力も矛盾してるし・・・それにBEATついて詳し過ぎる」
「どうゆうこと?」
「武君が監修した訓練プログラムがあるんだ」
「訓練プログラム?」
「ヴァルキリーズはそのプログラムで訓練をしている」
「訓練プログラムがどうしたの?別におかしくはないじゃない。私達も使うけど?」
「只の訓練プログラムじゃない。ハイヴ突入訓練のプログラムなんだ」
「突入訓練?」
「ああ。しかも、深層部まで到達出来る様になっててアイツらの頭脳まで居るんだ」
「えっ?頭脳・・・まさかそれって!」
市ヶ谷は黙って厚木を見ると頷き再び武を見る。
「オリジナルハイヴ・・・?」
厚木は信じられないと言ったように驚きの表情を隠せない。
「それも鮮明に・・・」
「どうして!」
「さすがに俺にはわからない。でも、一つだけ言えることは武君はオリジナルハイヴを見たことがある」
「聞いた事がない・・・オリジナルハイヴ突入作戦なんであるはずがない!」
「でも、事実だろう」
「どうしてわかるの?」
「武君を見ればわかる。彼はまるで全てを知っているような気がする」
「面白そうじゃない」
厚木は不気味な笑みを浮かべる。
「厚木」
「はいはい。取って食べたりしないわよ」
「それより。飯にしようか?」
「賛成~」
すると厚木は市ヶ谷の腕に自分の腕を絡める。
「厚木!」
「今日ぐらいいいじゃない。今日ぐらい・・・」
「厚木?顔赤いぞ?」
「えっ?」
厚木はそのまま市ヶ谷の腕を引き食事へと向かった。
「武様・・・」
「月詠さん・・・って様?」
「武様!ど、どうぞ!」
月詠の手にはタオルが握られていた。
「ありがとうございます。月詠さん」
「で、では!」
武はタオルを握り立ち尽くしていた。
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