第19章 キス

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すると冥夜は武の胸の中に顔を埋める。そんな一連の行動に慌てている武に冥夜が震える声で言う。 「タケル・・・好きだ」 武はその言葉を聞き涙を流す。 武の涙を見て冥夜は驚きながらも武の涙を自分の指て拭う。 「タケル。私にも話して欲しいのだ。そなたのことを・・・。そして、そなたと一緒にありたい」 「ごめんな・・・冥夜・・・」 武はゆっくりと冥夜を自分の体から引き離す。 「やはりダメなのか・・・?」 「ごめん」 武は足早にその場を立ち去った。 「タケルちゃん・・・」 「なるべく関わらないようにしてたはずなのに・・・」 「恋愛原子核だからじゃない?」 「だからって・・・」 「いいじゃないの。みんな可愛いんだからハーレム作りなさい」 「先生~そんな無茶な話ありますか?」 「おや。何か面白い話をされているではありませんか?」 「あんたも突然現れるのがすきよね~」 夕呼は呆れながら言う。 「どうしたんですか?課長」 「シロガネタケル。君はお父さんと呼んでくれたまえ」 「はい?」 武は突然の言葉にマヌケな返事をする。 「いや。忘れてくれ」 「で、何の用かしら?」 「そうでした。こちらへ」 鎧衣が扉を開きある人物を招き入れる。 「武様。お元気でいらっしゃいましたか?」 「悠陽!どうし・・・」 悠陽は武の唇に自分の唇を近づけ武の目を見る。 「武様。これが私の思いです」 そのまま武の唇を奪う。 「悠・・・陽?」 「これで私は武様の物。武様も私の物になりました」 「悠陽。どうして?」 「くちづけをする意味など武様ならおわかりのはずですが?」 「まぁ、その・・・マジか?」 「夢ではありません。現実です」 「何奴!」 鎧衣が声をあげると人影が逃げて行くのが見えた。 武は悠陽を自分の身体で守るように立つ。 「何者でしょうか?」 武の殺気に思わず悠陽は武を掴んでいた手を離す。 「すいません。逃がしてしまいました」 「左近。帰りましょう」 「はっ」 「先生。まだスパイはいるんですかね~」 武は夕呼の部屋のソファーに腰を下ろしため息をつく。 「なに?また何かあったの?」 「まぁ・・・」 「詳しく教えなさいよ」 夕呼は武の横に座り武に身体を預ける。 「私だって疲れる事ぐらいあるわよ」 「先生・・・」 武も夕呼を見て思わず顔を赤くして目を逸らす。 (こんなに可愛いはずなんて・・・) 「タケルちゃん・・・」 純夏は悲しげに武達を見つめていた。
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