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すると冥夜は武の胸の中に顔を埋める。そんな一連の行動に慌てている武に冥夜が震える声で言う。
「タケル・・・好きだ」
武はその言葉を聞き涙を流す。
武の涙を見て冥夜は驚きながらも武の涙を自分の指て拭う。
「タケル。私にも話して欲しいのだ。そなたのことを・・・。そして、そなたと一緒にありたい」
「ごめんな・・・冥夜・・・」
武はゆっくりと冥夜を自分の体から引き離す。
「やはりダメなのか・・・?」
「ごめん」
武は足早にその場を立ち去った。
「タケルちゃん・・・」
「なるべく関わらないようにしてたはずなのに・・・」
「恋愛原子核だからじゃない?」
「だからって・・・」
「いいじゃないの。みんな可愛いんだからハーレム作りなさい」
「先生~そんな無茶な話ありますか?」
「おや。何か面白い話をされているではありませんか?」
「あんたも突然現れるのがすきよね~」
夕呼は呆れながら言う。
「どうしたんですか?課長」
「シロガネタケル。君はお父さんと呼んでくれたまえ」
「はい?」
武は突然の言葉にマヌケな返事をする。
「いや。忘れてくれ」
「で、何の用かしら?」
「そうでした。こちらへ」
鎧衣が扉を開きある人物を招き入れる。
「武様。お元気でいらっしゃいましたか?」
「悠陽!どうし・・・」
悠陽は武の唇に自分の唇を近づけ武の目を見る。
「武様。これが私の思いです」
そのまま武の唇を奪う。
「悠・・・陽?」
「これで私は武様の物。武様も私の物になりました」
「悠陽。どうして?」
「くちづけをする意味など武様ならおわかりのはずですが?」
「まぁ、その・・・マジか?」
「夢ではありません。現実です」
「何奴!」
鎧衣が声をあげると人影が逃げて行くのが見えた。
武は悠陽を自分の身体で守るように立つ。
「何者でしょうか?」
武の殺気に思わず悠陽は武を掴んでいた手を離す。
「すいません。逃がしてしまいました」
「左近。帰りましょう」
「はっ」
「先生。まだスパイはいるんですかね~」
武は夕呼の部屋のソファーに腰を下ろしため息をつく。
「なに?また何かあったの?」
「まぁ・・・」
「詳しく教えなさいよ」
夕呼は武の横に座り武に身体を預ける。
「私だって疲れる事ぐらいあるわよ」
「先生・・・」
武も夕呼を見て思わず顔を赤くして目を逸らす。
(こんなに可愛いはずなんて・・・)
「タケルちゃん・・・」
純夏は悲しげに武達を見つめていた。
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