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「よかった」
武の言葉に驚きの表情を見せた純夏はゆっくりと皿におにぎりを置く。
「タケルちゃん。聞いてもいいかな?」
「どうした?」
「タケルちゃんは私の事・・・どう思ってる?」
「どうって・・・俺の幼馴染で絶対に守りたいと思ってる」
武の言葉に涙を浮かべる。
「そうゆう事じゃないよ!私の存在自体の事を聞いてるんだよ!」
「存在・・・?」
「そうだよ!タケルちゃんは人間で私は作られた兵器なんだよ!タケルちゃんだって冥夜たちみたいな人間の女の子がいいに決まってるよ!」
大粒の涙を流しながら武の胸を叩く。
「私に構わないで!タケルちゃんに私は酷い事をさせて来たのにどうして笑っていられるの!どうして笑顔を見せてくれるの!」
武は純夏を思いっきり抱きしめ、涙を流す。
「お前が苦しむ事なんてないんだよ!お前は何も悪くない!」
「タケルちゃん・・・」
「アイツらにお前は実験材料にされても生きる希望を捨てなかったんだろ?強いじゃないか!生きたいと思った結果が俺を呼んだんだろ」
「でも・・・」
「お前は誰よりも強い。それを誇れよ!作られた存在なんて思うなよ・・・俺はお前と会えて嬉しいぜ?」
純夏は笑いながら武の胸に頭を埋める。
「俺は絶対お前を離さない。お前も俺を離さないでくれるか?」
「タケルちゃん・・・大好き!」
武と純夏は互いの体を抱きしめていつまでも離さなかった。今までの時間を埋めるように2人は抱きしめた。
「俺もお前が好きだ」
しかし、武と純夏が抱きしめ合っている間、部屋の外で涙を浮かべながら霞は話を聞いていた。
「よかったです。でも・・・」
霞は自分の胸に抱える感情が嫉妬であることを知っていた。2人の再会を喜ぶ反面、嫉妬している自分に腹が立った。2人の想いを霞は知っていた。決して自分では2人の心に入ることも武が純夏に向ける感情を向けてもらえないことも、理解しているつもりだった。
霞は自分自身が嫌になって行くように思えた。嫌で嫌で仕方ない。「ごめんなさい」
霞は堪えていた涙が一気に溢れ出しその場には居られなくなって逃げるようにその場を後にした。
「純夏・・・」
「タケルちゃん・・・」
「俺は人類の希望である前に俺の希望なんだ。だから・・・俺はこれまでも戦ってこれたし、来れからも戦える」
「タケルちゃんがいるなら私だって戦えるよ?」
「一緒に終わらせようぜ?この物語を」
「うん」
純夏は力強く頷いた。
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