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百合子が投げた靴は、おぞましい顔をした女の胸に当たったはずだった。
それなのに、百合子が投げた靴はおぞましい顔をした女の胸をすり抜け、ガラス戸にぶつかり、ガシャンと大きな音を立ててガラス戸は粉々に砕け散った。
自分は悪夢を見ているのだろうかと、百合子は思った。
自分にだけ、この女の人が見える。
自分にだけ、この女の人はまとわりつく。
自分は、幻を見ているのだろうか?
おぞましい顔の女の左手がすっと伸びてきて、百合子のブラウスの襟を掴んだ。
そして次の瞬間、百合子は、バケモノの強い力で引き寄せられた。
〈 幻なんかじゃない! 〉
百合子は、バケモノの強い力に必死に抵抗した。
〈 この女の人は、悪霊…… 〉
百合子が必死になって抵抗すると、百合子のブラウスの襟は千切れ、百合子はその反動でその場に倒れた。
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