1316人が本棚に入れています
本棚に追加
百合子はそう言って立ち上がると、悪霊に背を向けて走り出した。
百合子に逃げるあてはなかったが、百合子はただ、少しでも早く、少しでも遠くへ逃げていきたかった。
百合子は後ろも振り向かず、懸命に校舎の階段を駆け上った。
百合子は息を切らし、大粒の汗をかき、フラフラになって校舎の三階にまで来て、立ち止まった。
〈 悪夢の時間は、いつになったら終わってくれるの? 〉
百合子は肩で息をして、うなだれた。
〈 悪霊は去ったのかしら? 〉
百合子は怯えながら、今、上ってきたばかりの階段を覗き見た。
最初のコメントを投稿しよう!