第1章

2/9
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
ある屋敷の地下の奥深くの牢獄に、一人の少年が監禁されていた。 少年の手足には金属製の枷がはめられ、顔には目隠しが覆われていた。 少年の体躯から判断するに、十二、三ぐらいの年だろう。 少年の名は茉莉(マツリ)。 監禁されてもう六年になる。 少年の生活は六年間一度も変わったことがない。 朝食、昼食、夕食、入浴、それに排泄までもが、決められた時間で行われてきた。 それらの行動は、少年が枷から開放される唯一の時だった。 だが、目隠しは六年間一度も外されたことはない。 少年は今日も、いつも通りの日常を送るつもりだった。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!