68人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
ある屋敷の地下の奥深くの牢獄に、一人の少年が監禁されていた。
少年の手足には金属製の枷がはめられ、顔には目隠しが覆われていた。
少年の体躯から判断するに、十二、三ぐらいの年だろう。
少年の名は茉莉(マツリ)。
監禁されてもう六年になる。
少年の生活は六年間一度も変わったことがない。
朝食、昼食、夕食、入浴、それに排泄までもが、決められた時間で行われてきた。
それらの行動は、少年が枷から開放される唯一の時だった。
だが、目隠しは六年間一度も外されたことはない。
少年は今日も、いつも通りの日常を送るつもりだった。
最初のコメントを投稿しよう!