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そんな話をしていると突然、ガラガラという音を奏ながら、教室の戸が開く。
白髪混じりでジャージ姿の中年男がノートパソコンを持ちながら入って来る。
この2年2組の担任、石崎先生だ。
「全員席に着け~」
さっきまで賑やかだったのが嘘みたいに静まり返り、全員が自分の席に着く。
何かを察したように烏達が一斉に鳴き始める。不気味なほど静かだからなのか烏の鳴き声が何時もよりよく聞こえる。
窓側の生徒が立ち上がり、網戸を閉め始めた。
それと同時に、石崎先生が口を開く。
「まず、今日は転校生が居るので紹介する。入ってきなさい」
すると石崎先生が入って来た戸と同じ所から一人の女性が入って来る。
黒髪のロングで整った顔立ちだ。
「なぁ、あの子美人じゃね?」
「ヤバいな、めちゃくちゃ美人じゃん」
教室中からヒソヒソと、話し声が聞こえる。
確かに美人だなぁ、でもなんか嫌な感じがする。こう、何て言うか禍々しいオーラというか。考えすぎか…………?。
彼女が黒板の前まで行くと先生が自己紹介をしろと彼女に告げる。
「はじめまして、宮本詩織です。皆さんと早く仲良くなりたいです。これからよろしくお願いします」
一礼をした後、詩織は神哉の隣の席に座った。
「じゃあ授業を始めるぞ~、教科書68ページを開け~」
石崎先生の発言で、さっきまでヒソヒソと話していた生徒達が話をやめ教科書を開く。
隣に座った詩織の方を向いて神哉は詩織に話しかける。
「俺は日賀 神哉、宜し……」
神哉が言い終える前に詩織が髪を撹上ながら喋りだす。
「見つけたわ、貴方が…………」
不適な笑みを浮かべながら詩織は続ける。
「ようやく見つけた。」
発言を止めると詩織は黒板に書かれた文章をノート写し始めた。
「お……おい、見つけたってなんの事だよ?」
神哉の質問をまるで聞こえていないかのように、無言のまま詩織はノートに写している。
これが宮本詩織との出会いだった。
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