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深夜2時、丑三つ時である。主室撫胸と赤松孝哉は都内の高校のグラウンドにいた。
ここまでの経緯はと言えば、
「今までの事件の現場を見たい」
この撫胸の一言が始まりだった。
かくして赤松の案内によって、二人は6人の被害者が出たグラウンドに来たのだった。
「ここに倒れてたのね?」
撫胸が指差したのは、グラウンドの中央だった。事件から数週間経った今では、その時の様子は窺い知れないが。
赤松は静かに頷いた。実際に居合わせたわけじゃなくても、やはりこんな所にいるのは、あまり良い気分ではない。
「ここで何をするんだ?」
赤松が言った。その手は微かに震えていた。
「『コックリさん』ていうのはさ、狐、狗、狸に平仮名のさんで『狐狗狸さん』って書くのよ、知ってた?」
「…………?」
唐突過ぎる話に、赤松は首を傾げた。
何故こんなタイミングで漢字のウンチクを聴かされいるんだ……? まさか漢字が苦手な自分のために講義でも開く気なのか、と大分的外な事を考えてしまったが、当然そんなはずない。
「でもさ、漢字はどうであれ、結局は交霊術なのよね」
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