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赤松には撫胸が何を言おうとしているのかがよく分からなかった。
「……回りくどいな、何が言いたいんだよ」
次第に苛々し出した赤松がやや強く言った。
「さっき私の知り合いに頼んでさ、怪我の具合について訊いてみたのよ」
時間は、ここに来る1時間ほど前に遡る。
撫胸は病院で(こっそりと)被害者の治療をしていた色無紙彦に電話をした。もしかすると、被害者に何かしら手掛かりがあると考えたからだ。
その仮説は当たっていた。
「え? 特にひどいのが、腹?」
撫胸は聞き返した。色無も、そうだ、と確信を持って言った。
「一見傷がよく見えていたから、顔や手足がひどいように思われるが、服の下の腹部。ここが一番執拗にやられてる」
「……。ねえ、もしかして……」
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