プロローグ

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ふん。 ざまあみろ! 調子に乗るからだ! バッグを抱えて着替えもせず楽屋を出る。 この衣装恥ずかしいけど………いいや。 真っ暗だし誰もいないっしょ! 「あ、宮浦さん! 送りますよ!」 私のマネージャーさんの久保田さんが車を停めておいてくれたみたい。 「歩きたい気分なんでちょっと歩いてタクシーひろって帰りますね。」 まぁ、そうでもないんですけど。 一人になりたいからそうさせてもらいます。 ごめんね、久保田さん。 「最近、通り魔は多いんです! 送ります!」 何か後ろで叫んでるけど気にしないよ。 そんな滅多なことがない限り襲われないっしょ。 「はぁ……。」 疲れる。 あの親さえいなければ普通に学校に通って、恋愛してエンジョイ学園生活なのにな……。 コツコツコツコツ タッタッタッタッタッタ 二つの足音が静かな空間に響く。 誰だよ。 こんな時間にランニングするやつ。 タッタッタッタッタッタッタッタ 早く通り過ぎないかな…… タッタッタッ…コツ、コツコツコツ あれ、歩き始めた。 疲れたのかな? ダダダダダダダダッ 「!?」 ダダダダダダダダダダッ……… え。なんか痛い。あれ、刺された……? まさかの私、通り魔に襲われちゃった感じ? 何それ。 運悪すぎでしょ………。 もう死ぬのかな、私。 こんな状況なのにこんなに冷静なのか自分。 女の子らしくキャーとか言えよな、自分。 こんなことになるんだったらアイドルなんかやめて学園生活エンジョイしたかったな。 友達、ほしかったな……。 最期までくだらないことを考えながら重くなった瞼に従ってそっと目を閉じた。
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