本編 2

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(ふう。) 心の中でひと息ついて 私は、池原の腕をつかみました。 でも、つかんではいけない 気がして手をずらすうちに 何故か腕を組むみたいな かたちに。(笑) 脇の下から、彼女の鼓動が 伝わってきて 私の心臓も早鐘を打つ。 私は 抱きしめたい気持ちを 必死で押し殺しながら 窓の外のどこかを 見つめていました。 たった三分間が とても長く感じて 言葉にできないもどかしさを 覚える私。 ホームをこえ改札をでると 友達のもとへ急ぐ池原。 「 またね 」 私は笑顔で手を振って きびすを返すフリをしました。 三歩歩いて振り返り 2人の後ろ姿を見送る。 「あーあ。結局渡せなかったな。  手紙。」 やるせない気持ちになりました。
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