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「あぁ、語弊が有ったようだね。人形と言うのは、普通の方さ。悪いけど、また売りに出てもらおうと思ってね。あっちの方は、まだ時間がかかりそうだよ。」
「そ、そうですよね。すみません。頭が回らなくて…。」
一々シリル様に要らぬ話をさせてしまう自分がもどかしい。もっともっと、彼のお役に立ちたいのに。役に立たなければならないのに──。
「じゃあ、これが旅費だから…渡しておくよ。」
「ありがとうございます。明日にでも売りに出掛けてきますね。では、早速私はその間のシリル様のお食事を作って置きますので…しっかりと食べてくださいよ?シリル様、人形作りに没頭すると寝食忘れるんですから…。」
「はは、気を付けるよ。いつも苦労を掛けてすまないね、カルメン。」
笑顔でそう語りかけて下さるシリル様。彼と暫く別れる事になるのは多少辛いが、これも彼の為。そう考えれば、私は例え火の中だろうと水の中だろうと、躊躇わずに飛び込んでいける。
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