プロローグ

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ふと、ルチルの目と狼の眼が合った。 どうせあんたも、ふんじばられて死んでいくんでしょう? 通じるはずもないだろうが、ルチルは嘲るように目を細めた。 すると、力を失っていたはずの眼に金色の炎が宿った。 その、輝く満月に、どうしようもなく惹かれてしまう。 「いつかここにいる全ての人間を噛み殺してやる」。 そう決心しているかのような気がしたから。 ざわざわと、観客がうるさい。 父親の豚のような笑い声。振るわれる鞭。 檻が蹴られて、錆びた金属の重低音がけたたましく鳴った。 ルチルは声を張り上げる。 七歳の少女が発するには、あまりにも力のある声だった。 人に命令する事に慣れきった声だった。 「静まりなさい」 その場に居た全ての人間が口を閉じる。 全員がルチルを見た。 息を吸う事すら躊躇われるような雰囲気が広がった。

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