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でも、世良君は口を開いて言葉を発した。
「見てないけど。高月が…三好先生と付き合ってたことは知ってた」
私がショックを受けないように、世良君は言葉を紡ぐ。
一言、一言がとても優しい。
さっき、先生と別れたばかりだと言うのに、その言葉に誘われるようになる。
「オレはずっと……高月のこと見てたから…」
(………え?)
さっきまで冷たく凍っていた心が、一瞬にして溶けていく感じがした。
『オレはずっと……高月のこと見てたから…』
頭の中で何度もリピートされる。
その言葉が、暗闇の中にいる私を導く小さな光となる。
暖かくて、私には勿体無いくらいの言葉。
「なん…なんで……今…そぉゆー事ゆうかなぁ……っ」
悲しくて、怖くて、不安で泣いていたのに。
その言葉で一気に嬉しさの言葉に変わる。
今の私には必要だった言葉なのかもしれない。
嬉しくて涙が止まらない。
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