動き出す心

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あたしのことを見てくれている人がいたなんて思わなかった。 三好先生でさえ、 放課後、泣いていることなんて気づいてくれなかったのに。 世良君が…… 世良君だけが…… 『もう二度と』 ドクン…ドクン…と鼓動が早くなってゆく。 『あんな風に高月を泣かせたくないから……』 鼓動の早さは止まらない。 ドクンドクンドクンドクン…… だんだん早くなって、壊れてしまいそうだった。 『これからはオレが絶対高月を守るから……っ』 先生と分かれて真っ暗になってしまった心に、 一筋の光が差したような気がした。 その光はあたしに希望を与えてくれるようで、 それと同時に戸惑いを感じさせる。 今日別れたばっかりなのに、一日も経たないうちに他の男性に寄りかかってしまうなんて…… でも、今のあたしはこの光にしか縋ることができない。 弱くなった心に暖かいものを感じさせる光に……
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