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どうしたんだろう、あたし。
今の私はどう表現できる?
言葉になんてできない。
言葉にできるような、簡単なものじゃない。
『充電なくなったらヤベーからさ、一回切るよ?待ってて、すぐ行くから』
「え……あ、うん、わかった」
ピッと通話を切るボタン音。
その音を鳴らしても、あたしは未だに信じることなんて出来なかった。
世良君の優しい言葉が、あたしの心に入ってくる。
忘れることなんてできない、
とっても、嬉しい言葉。
でも、一番はっきりしていることは、
(あたし……今……凄くドキドキしてる……?)
この鼓動の高鳴りだけは、はっきりしていた。
この寒い夜の中、世良君があたしに会いに来てくれる。
雪が吹雪いて凍えてしまうはずなのに、あたしに会いたいと言ってくれる。
それに対してあたしは嬉しいと感じる。
早く世良君に来て欲しいと、そう願っている。
雪が吹雪く真っ暗な様子を窓越しに見ながら、ずっとそんなことを考えていた。
……待って。
こんな寒い中あたしの家に来てくれるんだよ!?
家に着いた瞬間、倒れちゃったらどうしよう!!
な、何か温かいものを!!
「おかーさんっホッカイロちょうだいっ!!あ……あとレンジでチンする湯たんぽっ」
ドタドタと、大きな足音を鳴らしながら階段を駆け降りた。
世良君が来る。
だから、温かくなるようなもので迎えてあげよう。
早く……来ないかな……
世良君に会えるのを楽しみにしているあたしがいた。
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