新しい恋

3/18

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
いつも無関心そうに接してくるお母さんでも、子供のことはちゃんと見てくれていたんだ。 あたしのことを、気にかけていてくれたんだ…… あたしは嬉しかった。 お母さんが気にかけていてくれたから。 心配してくれていたから。 「玄関先までだから心配しないで」 ガチャ…とあたしはお母さんに背を向けてリビングを出ようとする。 出て行こうとしたその時だった。 「お父さん出張だから上がってもらいなさい。風邪でも引いたら大変でしょ」 何時ものように食器をカチャカチャと洗い出すお母さん。 お母さんはちゃんとあたしのことをわかっていてくれてる。 何も言わなくても、これからどんな人が来るのか……全部わかってるみたいだった。 怒ってなんかない。 むしろ、お母さんも喜んでいるようだった。 「あ……うん……!」 あたしはお母さんの言葉に驚いて、気の抜けた返事をしてしまう。 でも、頭の中でお母さんの言葉を理解すると、なんだか涙がでて来て止まらなかった。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加