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いつも無関心そうに接してくるお母さんでも、子供のことはちゃんと見てくれていたんだ。
あたしのことを、気にかけていてくれたんだ……
あたしは嬉しかった。
お母さんが気にかけていてくれたから。
心配してくれていたから。
「玄関先までだから心配しないで」
ガチャ…とあたしはお母さんに背を向けてリビングを出ようとする。
出て行こうとしたその時だった。
「お父さん出張だから上がってもらいなさい。風邪でも引いたら大変でしょ」
何時ものように食器をカチャカチャと洗い出すお母さん。
お母さんはちゃんとあたしのことをわかっていてくれてる。
何も言わなくても、これからどんな人が来るのか……全部わかってるみたいだった。
怒ってなんかない。
むしろ、お母さんも喜んでいるようだった。
「あ……うん……!」
あたしはお母さんの言葉に驚いて、気の抜けた返事をしてしまう。
でも、頭の中でお母さんの言葉を理解すると、なんだか涙がでて来て止まらなかった。
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