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わかっていた。
本当は、こうなってしまうことをわかっていた。
「ごめん……オレ、結婚する……」
行為が終わり、愛し合った後に“彼”がそう言った。
あたしは乱れた制服を整え、上着を着ながら必死に泣きそうになるのを堪えた。
何事も無いように、動揺するあたし自身を押さえ込んだ。
「親父が病気でさ……もーあんま良くなくて、親父の会社の取引先の縁談、受けることにした」
“彼”はそう言いながらネクタイを結び直す。
“彼”の後ろにある窓からはまだ雪が吹雪いていて、それがあたしの心をより凍らせていった。
そして、決心したように彼は続ける。
「“教師”も…やめる。どの道こんな事してんだから教師失格だしな」
そう、“彼”は先生。
いわゆる禁断の恋愛。
好きにはなっていけない人だった。
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