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嬉し過ぎてまた涙が出てしまいそうだった。
「違うの……あたしが……っ」
世良くんのせいじゃない。
世良くんは何も悪く無いんだもん。
もう一度、毛布を握る手に力が入る。
「あたしが世良くんを
待ちたかったの……!」
こんなこと顔を上げてなんて言えない。
目をぎゅっと瞑って、心臓が破裂しそうなくらいにドキドキしてて。
きっと手が震えてたかもしんない。
だって、世良くんにこんなこと言うなんて……
恥ずかしい……!!
「……………っ」
何も言わない世良くん。
きっと急に変なことを言うあたしに言葉を失っているのかもしれない。
あたしは何か会話をと頭の中で探した。
だけど見つかんなくって、ふと、見上げた時に世良くんの髪が見えた。
前髪の一部分だけ違和感があった。
「世良くん、この髪……っ」
そっとその前髪に触れると、パリッと音がした。
「濡れたまま来たの……?凍ってる……」
こんなになるまで、
世良くんはあたしに会いに来てくれたんだ……
そう思うと、胸が熱くなった。
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